今日は2011年8月に発売された経皮吸収型持続性鎮痛薬『ノルスパンテープ』の勉強をしようと思います。

ノルスパンテープはオピオイド鎮痛剤で治療困難な変形性関節症、腰痛症の持続する痛みの緩和に用いられます。
目次
作用機序
ノルスパンテープはオピオイド系薬(非麻薬)に分類されます。

似た製剤だと、ワントラム錠やトラムセット配合症が有名です。
オピオイド鎮痛薬とは中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体への作用により鎮痛作用をあらわす薬剤で、オピオイド受容体にはμ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)という種類がある。(μのオピオイド受容体が鎮痛作用に最も関与するとされる)

ノルスパンテープは、脂溶性の高いオピオイドで、μオピオイド受容体に対して部分作動薬としてκオピオイド受容体に対しては拮抗薬として作用し、中枢神経系の痛覚伝導系を抑制することにより鎮痛効果を発揮します

モルヒネより便秘になりにくく、呼吸抑制も少ないので喘息患者さんにも使用できます。
また、ノルスパンテープは、単独投与でモルヒネより弱い鎮痛作用を発揮し、モルヒネと併用するとモルヒネの作用に拮抗的に働く(麻薬拮抗作用を有する)ことから、麻薬拮抗性鎮痛薬とよばれており、海外では麻薬依存者の治療薬として使用されています。
ノルスパンテープは部分作動薬として作用するため天井効果(ある程度の量以上、投与量を増やしても鎮痛効果が頭打ちになること。有効限界ともいう。)を示すが、臨床用量での鎮痛効果では天井効果がないとの報告もある。
麻薬で有名なモルヒネはμオピオイド受容体に対する選択性が高いです。そのため、鎮痛効果の他に、多幸感や身体・精神依存も起こりやすいのです。(もちろん医療用麻薬は適正に使用すればそのようなことは起きません。)
医者なら誰でも処方できる薬ではない!
ノルスパンテープはオピオイド系鎮痛薬、規制区分では向精神薬に分類され、承認にあたって、「変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用」との条件がつきました。
なので、メーカーが構築したe-ラーニングシステムを受講した医師のみが処方を出せるという制限があります。

誰でも処方できる薬ではありません。処方された際はe-ラーニングシステムを受講している医師か確認しましょう。
ちなみにノルスパンテープを調剤するには薬局は、久光製薬のMRに施設登録書を提出し、登録薬局として登録させる必要があります。
ノルスパンテープの特徴
使い方


- 剥がれてしまった場合は、新しいのを貼り、その日から7日間後に次の分を貼る。決して2日分を一気に貼ってはいけません。
- 切って使用してはいけません。
考察
痛み外来で、よく処方が出ていましたが、新しく「ジクトルテープ」や「ロコアテープ」が発売され、やや処方が減っています。
鎮痛効果はあれども、やはり副作用やオピオイド系薬として使いにくい面もあるのかなーと思います(°▽°)
参考
- ノルスパンテープの適正使用ガイドブック
- ノルスパンテープ添付文章
あまり聞いたことのない薬だわ。どんな薬なのかしら?