ある患者さんがいいました。
ペインキャンプ???医療従事者ですが、恥ずかしながらこの言葉をはじめて聞きました。
みなさん、「ペインキャンプ」をご存知ですか??
ペインキャンプは生活や就労に制限・困難を期した主に若中年層の慢性疼痛患者を対象としています。 「痛みがあっても活動的人生を送る」ことを目標に、医師をはじめとした医療専門職者らとともに種々の課題に取り組み、痛みに負けない身体づくりと、痛みや身体の不調に影響を与えるストレスへの適切な付き合い方を学び、自分自身で痛みへ対処する方法を習得することを目指した短期入院型のグループプログラムです。
愛知医科大学 痛みセンター ホームページ
痛みを訴えて病院に来ますが、検査しても原因が分からなかったり、手術が出来ないなど痛みと共に生活している人はたくさんいます。
痛みの慢性化に伴って、
☆安静による筋力や筋持久力の低下・関節の拘縮・不良姿勢・肥満などの“身体的問題”
☆痛みに対する過度な恐怖や不安・気分の落ち込みや意欲の低下・怒りや苛立ちなどの“感情や心理 の問題”
☆欠勤や休業など就業への悪影響・趣味や娯楽の制限・社会的孤立・疾病利得などの“社会的な障害”
など、様々な問題が生じるようにになります。
慢性疼痛患者は,痛み に執着し,頭の中が痛みに囚われてしまいます。

国際疼痛学会では、「心理社会的要素の絡んだ難しい慢性疼痛には、集学的治療が必要である」と謳っています。
集学的治療とは、身体・心理の専門科が多職種で協働して、共有された治療方針と治療ゴールに向かって患者を支援する治療体制のことです。
集学的治療の目的は、痛みを取り去ることではなく、患者自身が痛みをマネジメントして、コーピング(対処)できる能力を育み、痛みがあっても生活や人生を楽しめるようになることである。


痛みを受け入れて、上手く付き合っていく訓練をするということですね。
目次
からだを鍛える
理学療法士の指導による、各個人に合わせた徹底した筋力トレーニングと有酸素運動を主に行います。
慢性疼痛治療ガイドラインでも推奨度の高いストレッチング、筋力増強運動、有酸素運動を主としている。その他にも、脊椎の安定性向上を目的としたモーターコントロールエクササイズ、ヨガ、太極拳、瞑想などのマインド – ボディエクササイズ、不良姿勢や不良動作に伴う痛みの持続を改善するために正しい姿勢と作業動作のチェックと指導なども行っています。
こころを鍛える
心理療法では、慢性疼痛患者に多くみられる「痛 みに対する悲観的消極的な認知・行動パターン、や過度な恐怖や不安」といった“認知(物事のとら えかた)”の改善・解消に焦点を当てて行っています。
短期、中期、長期のゴール設定を行い、目標を痛みの軽減から、「~ができる」といった実現可能な患者の望む活動へと視点を変えるようにしている。
また、認知再構成法などの取り組みを通じて、適切な痛みの捉え方やストレスに上手に対処するコーピング方法などを学びます。
まとめ
ペインキャンプでは、病院という安心できる環境において、医療者が管理した運動を正しい方法で適切な量をこなすことにより“実際に体験して成功体験を積み重ねること”ができます。
この成功体験は、患者の痛みに対する強い恐怖や不安、誤った思い込みや決めつけ思考を修正してくれます。
そして心理療法を通じ、どのように痛みや運動をポジティブに捉えるかを学ぶことで、運動・活動への自信が強化されます。
この集学的プログラムを実施することで、運動・身体活動・痛みに対する意識や捉え方が変わってきて、痛みを受け入れ上手く付き合っていけるようになるのです。
もし、痛みで悩んでいる方がいたら、相談してみてはいかがでしょう??🤗
参考
- 愛知医科大学 痛みセンターホームページ
- 現代医学69巻1号 令和4年6月(2022)
ペインキャンプに参加したいんだ!