今日はメトグルコ錠の面白い適応についてご紹介。
大日本住友製薬は2022年3月28日、ビグアナイド系経口血糖降下薬・メトグルコ錠200mg、同500mgについて、不妊治療に係る適応追加を公知申請したと発表した。
追加予定の効能・効果は、「多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発(ただし、肥満、耐糖能異常、インスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)」及び「多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激(同)」で、クロミフェンなど他の排卵誘発薬と併用して用いることになる。
ミクスonlineより引用
糖尿病治療薬のメトグルコ錠が今年の3月に不妊治療に適応が追加になりました。全く違う病気なので驚きでした!!
目次
多嚢胞性卵巣症候群とは
多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣で通常より多くの男性ホルモンが分泌されることによって卵胞(卵子を育てる袋)の成熟に時間がかかり、排卵しにくくなる病気です。
これにより月経周期が長くなる・不規則になるといった月経異常が引き起こされます。また男性ホルモンが多いことから、ニキビが増える・毛深くなる・体重が増えるなど全身にさまざまな症状が現れる特徴があります。

治療では症状、妊娠の希望の有無に応じて生活指導、薬物治療などを行います。
原因は?
多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣内での男性ホルモンの分泌量が増加することが原因と考えられています。
男性ホルモンの分泌が増加するのは、血糖値を下げる“インスリン”というホルモンのはたらきが弱まるためです。
これをインスリン抵抗性といいます。
男性ホルモンは卵胞の発育を抑制する、卵巣を包む膜を厚くする作用を持つため、正常な排卵が起こりにくくなり多嚢胞性卵巣症候群を発症するとされています。
また脳の下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の分泌バランスが崩れてLHの分泌量が増えることにより、卵胞の成熟が遅れることも発症原因の1つとされています。
病態は複雑で、すべてが解明されていませんが遺伝や環境的な要因により発症すると考えられます。
作用機序

①「肝臓における糖新生の抑制」:乳酸、グリセロール、アミノ酸などからグルコースを合成する反応(糖新生)を抑制し、肝臓からの糖放出率を低下させます。
②「骨格筋・脂肪組織における糖取り込み促進」:骨格筋や脂肪組織のインスリン抵抗性を改善して糖取り込みを促進するとともに、骨格筋では取り込まれたグルコースの分解亢進、グリコーゲンの合成促進など細胞内でのグルコースの利用を促します。
③「小腸からの糖吸収抑制作用」:食事中のグルコースの吸収を抑制します。
多嚢胞性卵巣症候群の場合は主に②の作用効果を期待します。
用法・用量
最初の 2 週間は 500 mg/日から開始し、消化器系の副作用の 有無をみながら1000~1500 mg/日まで増量する。
投与中は卵胞発育や基礎体温を観察し、排卵までに中止する。
クロミフェンやレトロゾール等による排卵誘発と組み合わせて用いられる。
考察
初め、適応追加を知って糖尿病とかけ離れた適当だったので驚きました。
でも、作用を考えて納得。私は、実際に処方を見たことがないのですが、実際にちょこちょこ症例はあるようです。
用法用量も特徴的なので、使う方は間違えず服用してくださいね!
参考
- メディカルノート
- スミトモファーマホームページ
どう効果があるのか詳しく見ていきましょう。