ペインクリニックからみた神経絞扼




おはにちわ、のまりこです!!

本日は、PTジャーナルVol.55 NO,4から文献紹介を行いたいと思います。
なぜか図の挿入がまだできないため、全てを知りたい方は、下記のリンクから雑誌を購入し読んでみてください。

理学療法ジャーナル 2021年 4月号 特集 皮神経滑走と運動療法の新知見

目次

Point 

  • 神経絞扼による痛みは頻度が高く、慢性痛になるとコントロールが難しい
  • ハイドロリリースにより疼痛が緩和される症例では、マクロ・ミクロでの公約の関与を推測可能である
  • リリースし運動療法を併用することで、より低侵襲な疼痛コントロールが期待される

はじめに

神経の局所圧迫によって引き起こされた神経障害を絞扼性神経障害といい、頻度は地域や医療機関の規模で異なるが、末梢神経外来の29.4%を占めるという報告もある。必要であれば外科的加療となるが、保存的加療としてペインクリニックでは薬物療法のほかに神経ブロックや絞扼部でのハイドロリリース(hydrorelease:HR)などを行っている。しかし、神経ブロックやHRだけでは効果が一時的であり疼痛コントロールが困難な場合もあるため、リハビリテーションを含む修学的な加療が求められている。本稿では、絞扼性神経障害の病態や症状、診断、ペインクリニックからみた治療について症例を提示し報告する。

絞扼性神経障害

神経絞扼症候群とは、周辺組織の機械的圧迫や刺激を末梢神経が受け、局所的損傷や炎症を生じたものをいう。病態については圧迫などの外力が原因であるとする説と、疎血などの循環不全が原因であるとする説が存在する。また、圧迫や摩擦などの外力が加わり神経周囲が肥厚することで循環障害を引き起こすといった、それぞれが絡み合って神経周囲の環境が変化することで生じているとも考えられている。

症状

末梢神経には知覚神経、運動神経が含まれている。絞扼されることにより支配神経領域の痛みや痺れを訴え、支配神経領域での運動麻痺を来す。麻痺が進行すると支配筋の萎縮、さらには完全麻痺を起こし、手指、足趾の変形が生じる。絞扼部位を中心に限局された痛みがみられることが多い。

診断

しびれを痛みと訴える場合も多いが、それら痛みや痺れの発生時期、発生部位、原因、症状誘発肢位、増悪因子といったものを問診する。それぞれを確認しながら神経の固有運動支配筋、知覚支配領域を考え、障害神経を推定する。さらに、末梢での絞扼が原因である場合には限局性の痛みやTinel徴候の有無は重要であり、そこから絞扼部位を特定する。四肢の変形や筋萎縮、四肢の周囲径、色調などといった診察も行ったうえで、他の疾患と鑑別のため単純X線、C T、M R I、超音波検査など画像検査を行う。

3. ペインクリニックから絞扼性疼痛

 ペインクリニックでは絞扼性疼痛と考えられる患者の頻度は高く、薬物治療や神経ブロックを行っていることが多い。従来の絞扼性障害を来す疾患の頻度が高いことに加え、手術療法後に残存する疼痛(遷延性術後創部痛)も多く、最近では低侵襲である腹腔鏡下での手術が増加し、創部瘢痕に伴った前皮神経絞扼症候群(anterior cutaneous nerve entrapment syndrome:ACNES)といったものも報告されている。

ACNESとは腹壁の感覚を支配する皮神経が腹壁で絞扼することで急性経過〜慢性経過の腹痛を呈するもので、特徴として腹痛は局所的であり、部位は<2cm2程度、強点は指一本分程度であることや、圧痛は腹筋を緊張させると増悪する(Carnett試験陽性)のが特徴的である。腹直筋の外縁を皮神経が通過するため、同部位に沿って圧痛点がある。

稀な疾患と言われているが気づかれていない可能性が高く、オランダの教育病院における評価では、急性腹痛で受診した5,111例中、A C N E Sは97例(1.9%)であったとのこと報告がある。また10〜18歳の小児における慢性腹痛(外来症例)の解析では慢性腹痛で外来受診した症例95例中、ACNESは12例(12.6%、8人に1人がA C N E S)となっている。

絞扼性神経疼痛は急性期においては薬物療法や神経ブロックなどを行うが、慢性期に紹介されることも多く、コントロールが難しい疼痛である。表1、2に上下肢の主な絞扼性疾患を示す。

症例紹介

症例1

17歳男性、既往歴なし、小学校の頃から月に1〜2回程度、2,3時間続く腹痛を認めていた。
随伴症状は認めず、C Tなど精査されたが問題なく、内服で経過観察されていた。しかし、頭痛が強く救急搬送となる場合もあり、当科へ紹介受診となった。

受診時に左腹直筋外側T10領域に限局する圧痛

Numerical Rating Scale:6/10)を認めていた。診断、加療目的で腹直筋鞘外縁でのT10肋間神経前皮肢のブロックを行った(図1)ところ著効し、ACNES(この症例では成長に伴う神経の牽引と半月線から腹直筋鞘部での絞扼)と診断した。後日、初回ブロック部位での50Hz 0.5mA刺激での再現通を確認のうえ、42℃8分間のパルス高周波を施行したところ、疼痛は消失した。その後6ヶ月経過観察し再発を認めなかったことから、再燃があれば受診とし当科での診療は終了とした。

症例2

34歳男性、既往歴なし。仕事中にチェーンソーで受傷し、左前腕不全切断の診断で再建術となり、その後尺骨神経移植術や筋腱剥離術が施行された。術後の痛みがVisual Analogue Scale 60~70/100程度で持続したため、疼痛コントロール目的に当科へ紹介受診となった。内服調整を開始し、星状神経節ブロックの施行でやや軽快したものの、左示指の痛みの訴えが強く、橈骨神経領域の背屈伸展が困難であり知覚異常も認めていた。診断、加療目的に創部のやや中枢側で橈骨神経のテストブロック(図2)を行ったところ効果を認めたため、同部位においてパルス高周波を行った。完全除痛は得られなかったものの、ADLは著明に改善し、内服を継続しつつ、半年に一度のパルス高周波の施行で日常生活を問題なく過ごせている。

絞扼性神経障害の治療ポイント

神経ブロックは疼痛コントロールだけでなく、絞扼部位の診断目的にHRを行うことも多い。診断加療目的でブロックを行い効果判定するが、効果があっても一時的であり中長期的な効果を考えパルス高周波といった処置を追加する場合もある。しかし、超音波ガイド下に絞扼を解除し、その後リハビリテーションを行うことで追加としての処置を行わずコントロールができるのではないかと考えている。

また、経過が長期にわたる場合は外科的治療についても検討する必要があるが、難治性慢性疼痛としての絞扼性疼痛も、神経ブロックやHRによる絞扼部位における絞扼の解除や高周波パルス療法と理学療法における用手手技を組み合わせることで、外科的治療の頻度の軽減、有効性や有効期間の延長が期待できるかもしれない。

広く慢性疼痛治療に言えることではあるが、認知行動療法なども取り入れることにより恐怖回避モデルでの悪循環に陥らないことが重要であり、患者のQOLを考え、集学的な加療を行うことが治療のポイントである。

おわりに

ペインクリニックで取り扱う、神経絞扼に起因する疼痛について自験例を交えて解説を行った。とりわけ慢性疼痛においては、疼痛の伝達経路のなかで広義の神経絞扼に起因するものは少なくない。これらの疼痛に対して超音波ガイド下に絞扼解除を確認し、運動療法を行い解除された状態を継続することにより、これまでよりも侵襲を抑えた満足度のより高い疼痛コントロールが行えると期待される。

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りこ
こんにちは。りこと言います。パート働いている2児のアラフォーワーママです🙋‍♀️ 毎日、食事を作る時間がない・・・と言うことで、「ホットクック」を購入!! 買ったからには使いこなしたい!と思い、ホットクックレシピを試行錯誤🌸 楽しく時短しています🎵よかったら参考にしてください(o^^o) よろしくお願いします🌼
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