腎尿細管においてSGLT2を阻害して糖の再吸収を減少させ、尿中に糖を排泄させます。
浸透圧の関係で尿量が増えるので、脱水・尿路感染・に注意が必要です。
体重減少、血圧低下も期待できます。インスリン作用を介さずに作用を発揮するため、単独では低血糖を起こしにくいです。
SGLTとは、sodium glucose cotransporter(sodium glucose transporter)の略で、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれるタンパク質の一種のことです。SGLTは、体内でグルコース(ブドウ糖)やナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む役割を担っています。
SGLTは1〜6まで種類があり、2が腎臓の近位尿細管に選択的に発現していることが分かっています。
2014年にスーグラ錠が発売されて以来、何かと話題なSGLT2阻害薬。驚くことに、血糖降下作用以外にも、腎保護作用や慢性心不全に効果があったり、どんどん適応が増えて来ています。
まだまだ先が楽しみです(°▽°)
2022年10月現在、6商品あります。
(デベルサ・アプルウェイ、カナグル、ジャデイアンス、スーグラ、フォシーガ、ルセフィ)
目次
使い方ポイント
Drはどのように使い分けしているのでしょうか。1番は、きっとこれでしょう!
適応症の違い!!!これに尽きるのではないでしょうか。
他には、代謝経路の違いや薬物動体も異なります。

製剤を順に見ていきましょう。
スーグラ錠 25mg 50mg
- 適応:1型・2型糖尿病
- 用法:1日1回 朝食前または朝食後
- SGLT1(腸管・心臓・筋肉)にも作用する割合が高いので、それらの臓器への影響も注意
- 代謝:グルクロン酸抱合


用法の縛りがあるのが少しネックですね。
1型糖尿病患者さんにも使えます。
フォシーガ錠 5mg 10mg
- 適応:1型・2型糖尿病、慢性腎不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。)、慢性心不全(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。)
- 用法:1日1回(朝の縛りがない)
- 代謝:グルクロン酸抱合


SGLT2を阻害することにより、近位尿細管でナトリウムが再吸収されず、遠位尿細管に到達するナトリウム量が増加することで、糸球体に向かう輸入細動脈が収縮し、糸球体内の圧力が低下すること、こうした作用が、浸透圧利尿による体液過剰の補正・血圧低下といった作用と組み合わさり、腎灌流を改善することで腎保護作用を示します。
腎臓の糸球体で、血管から尿管に移行した糖(グルコース)が再度血管にナトリウムと一緒に再吸収されるのを抑制することで血糖を低下げるます。
したがって、浸透圧利尿とナトリウム利尿作用による心負荷軽減作用があります。また、心筋にあるNa+/H+交換体への直接作用による心筋収縮改善作用も報告されています。
その他、ケトン体増加に伴う心筋ATP産生増加による心筋効率改善作用などが考えられていますが、まだ全容は分かっていません。

どちらの適応も、末期腎不全や透析中の患者には使用できませんが、それ以外の患者も糖尿病を合併しているか否かに関わらず投与することができます。
1日1回で、こんなにも適応があるなんで・・・(o^^o)
慢性腎不全と慢性心不全の場合は1日1回10mgでの服用です。
カナグル錠 100mg
- 適応:2型糖尿病、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。)
- 用法:1日1回 朝食前または朝食後
- SGLT1(腸管・心臓・筋肉)にも作用する割合が高いので、それらの臓器への影響も注意
- 代謝:グルクロン酸抱合

カナグルの場合は、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に適応があります。2型糖尿病じゃない慢性腎不全患者さんは服用できませんので注意!
ジャディアンス 10mg 25mg
- 適応:10mg→2型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。)
25mg→2型糖尿病
- 用法:1日1回 朝食前または朝食後
- 代謝:グルクロン酸抱合


慢性腎不全に適応があるのは、10mg製剤だけなので注意です!糖尿病でなくても服用できます。
デベルサ錠 20mg
- 適応:2型糖尿病
- 用法:1日1回 朝食前または朝食後
- 代謝:CYP
- 半減期が5時間と1番短い(多くは約10時間)
- 同成分薬のアプルウェイ20mgは2022年4月〜製造中止となりました

ルセフィ錠 2.5mg 5mg
- 適応:2型糖尿病
- 用法:1日1回 朝食前または朝食後
- 代謝:CYP
- ODフィルム製剤がある


考察
色々と新たな適応が発見されているSGLT2阻害薬。慢性心不全や慢性腎不全で服用している症例も多く見られるようになりました。
その点ではフォシーガ錠が適応も多く、使いやすい薬剤になるのではないでしょうか。
これからそれらの適応がないSGLT2阻害薬も追加される可能性もあり、今後もまだまだ活躍するでしょう(°▽°)
もちろん推しはフォシーガ錠です!
参考
- 新・違いがわかる!同種・同効薬
- 糖尿病リソースガイド
今日は、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬の違いをまとめようと思います。