今日は興味深い論文があったのでご紹介します。(参考:日本病院薬剤師会雑誌 2022.5)

妊婦さんにいいって言うし、サプリメントもたくさん売ってるし・・・
本当は良くないのかしら??飲まない方がいいのかしら?
詳しく説明していきましょう。
オメガ3脂肪酸とは
体の組織が正常に機能する上で欠かせない脂肪酸の総称。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、エゴマに含まれるα-リノレン酸などがあります。体内では生産できないので、食事から摂取しなければなりません。
オメガ3脂肪酸は、青魚(さば、イワシ、さんま、カツオなど)に多く含まれています。
このオメガ3脂肪酸は
- 血流の改善
- 老化防止
- 血栓予防
- アレルギー予防
- 脂肪燃焼効果
- 感染予防
など、様々な健康作用があると言われています。取り分け妊婦さんには・・・
- 早産の予防
- 出産時の低体重リスクの低下
- 胎児の脳の発育に有効
など、服用するメリットが多くあることが分かっています。米国では妊娠中の摂取が推奨されています。
オメガ3脂肪酸の抗血小板作用
いいことづくめのオメガ3脂肪酸ですが、一方で「抗血小板作用」も持ち合わせています。
抗血小板作用とは、血液をサラサラにする作用のことです。血を固まりにくくするので、出血した場合、なかなか血が止まらなくなります。
ある病院で妊娠期の妊婦さんが、オメガ3脂肪酸のサプリメントを服用している群としていない群とで分娩時出血量を比較しました。
結果、使用群は不使用群よりも分娩時出血量が優位に上昇することが明らかになりました。(今回の結果では帝王切開や誘発分娩での有意差は認められなかった。要因として、もともとこれらの分娩式自体が出血異常出血のリスク因子であることが考えられる。)

結局、サプリメントは飲んだほうがいいの?
オメガ3脂肪酸は必要な栄養素であることは間違いありません。
アメリカの麻酔学会では手術などの周術期のサプリメント全般において2〜3週間前の中止を推奨しています。
なので、周産期になったら中止するのがベストはないかと思います。
しかし、妊娠中は何が起こるかわからないもの。オメガ3脂肪酸のサプリメントを服用している場合は、母子手帳に記載しておくか、主治医に伝えておきましょう。
妊娠期にDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸のサプリメントを服用していると、分娩時異常出血のリスクが上がります!!