作用:DPP-4阻害を選択的に阻害してインクレチンの濃度を高め、血糖降下作用を示します。
インクレチンとは Intestine Secretion Insulin から命名された、消化管ホルモンの一種です。 食事をして、消化管内に炭水化物や脂肪が流入すると腸管から血中へと分泌され、血糖値が上昇しているときに、インスリン分泌の促進やグルカゴン分泌を抑制する因子の総称です。
現在知られているインクレチンとして、GLP-1とGIPの2種類があります。
インクレチンはDPP-4(ジペプチドペプチダーゼ-4)という分解酵素によって分解されてしまいます。
体重は増加しにくく、単独で低血糖を起こすリスクも少なくファーストチョイスでよく処方されます。
2009 年 12 月 11 日に国内初となる DPP-4 阻害薬であるグラクティブ錠・ジャヌビア錠が販売開始となり,その後は国内外の製薬会社より,相次いで新規DPP-4阻害薬が発売されています。
DPP-4 阻害薬が登場したことで,糖尿病薬物治療の歴史が大きく変わり、発売からわずか 2 年後の 2011 年の時点で,事実上,日本における経口血糖降下薬の第一選択薬になっています。
副作用では膵炎や水疱性類天疱瘡発症が重大な副作用として上がっています。
現在 DPP-4 阻害薬は9種類発売されています。(2022年10月時点)
(商品名:グラクティブ・ジャヌビア、エクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザ、ザファテック、マリゼブ)
目次
使い分けポイント
DPP-4 阻害薬は何種類も発売されていますが、血糖降下作用は大体同じです。まだどの製剤も後発品はありません。
①代謝・排泄経路の違い
グラクティブ・ジャヌビア、ネシーナ、オングリザ、ザファテック、マリゼブ
テネリア、スイニー
腎排泄の薬は腎機能障害者には減量や禁忌の注意書きがあるので、投与時に腎機能が正常化確認する必要があります。
エクア
重度の肝機能障害患者には禁忌です。
トラゼンタ
唯一の胆汁排泄型。腎機能障害や肝機能障害者にも減量の必要がありません。
②服用回数の違い
グラクティブ・ジャヌビア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、オングリザ
エクア、スイニー
ザファテック、マリゼブ
同じ効果でも用法の違いがあります。患者さんのライフスタイルに合わせた用法を選択します。
また多剤の糖尿病治療薬と併用もしやすいことから、合剤も多くあります。
まとめ
最後にそれぞれの薬を紹介していきます(°▽°)
グラクティブ錠・ジャヌビア錠
- シタグリプチン製剤
- 腎排泄
- 1日1回
- SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン)との配合剤(スージャヌ配合錠)がある


エクア錠
- ビルダグリプチン製剤
- 肝代謝
- 1日2回
- ビグアナイド薬(メトホルミン)との配合剤(エクメット配合錠)がある

ネシーナ錠
- アログリプチン製剤
- 腎排泄
- 1日1回
- チアゾリジン薬(ピオグリタゾン)との配合剤(リオベル配合錠)がある
- ビグアナイド薬(メトホルミン)との配合剤(イニシンク配合錠)がある

トラゼンタ錠
- リナグリプチン製剤
- 胆汁排泄型
- 1日1回
- SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)との配合剤(トラディアンス配合錠)がある

テネリア錠
- テネリグリプチン製剤
- OD錠(口腔内崩壊錠)の剤形もある
- 肝代謝・腎排泄2ルート
- SGLT2阻害薬(カナグリフロジン)との配合剤(カナリア配合錠)がある

スイニー錠
- アナグリプチン製剤
- 肝・腎代謝
- ビグアナイド薬(メトホルミン)との配合剤(メトアナ配合錠)がある

オングリザ錠
- サキサグリプチン製剤
- 1日1回
- 肝代謝・腎排泄2ルート
- 1番新しいDPP4阻害薬。合剤はない。

ザファテック錠
- トレラグリプチン製剤
- 週に1回服用
- 腎排泄

マリゼブ錠
- オマリグリプチン製剤
- 週に1回服用
- 腎排泄

考察
ずらっと書きましたが、1番使いやすいのは、トラゼンタ錠かなーと個人的には思います。
今の病院でもトラゼンタ錠の処方は多いです。1日1回の服用で、用量の調節もありませんのでね(*^▽^*)腎機能障害でも安心して使用可能ですし!
それぞれにあった、DPP4阻害薬を見つけてくださいね。
参考
- 新・違いがわかる!同種・同効薬
- 月間糖尿病
- 日経メディカル処方薬辞典
今日は、糖尿病治療薬のDPP−4阻害薬の違いをまとめてみようと思います。