骨粗鬆症のインパクト




おはにちわ、のまりこで。

本日は、総合リハビリテーションという雑誌の2021年4月に掲載されている骨粗鬆症について文献紹介をしていきたいと思います。ただし、前回に続き図の挿入はできませんでしたので、全部知りたい方は是非購入して読んでください。


総合リハビリテーション 2021年 4月号 特集 骨粗鬆症??指導に役立つエビデンス

私のブログでも骨粗鬆症の薬についても説明していますので、薬についての知識も是非一緒に学んで頂けると良いと思います。
https://kokokaraugokidasou.com/薬のメモ帳〜%E3%80%88フォルテオ皮下注射〉〜/

https://kokokaraugokidasou.com/medicine-notepad/

 

目次

はじめに

超高齢社会を迎え、国は「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて」を提唱し、「健康寿命延伸プラン」や「医療・福祉サービス改革プラン」を策定した。健康寿命延伸のために、健康無関心層を含めた予防・健康づくりの推進や地域・保険者間の格差の解消を掲げており、健康寿命延伸のための予防として骨粗鬆症を含めたロコモティブシンドローム運動器症候群・ロコモ)は重要である。今回は、ロコモの代表的疾患のひとつである骨粗鬆症の社会に与えるインパクトして、なぜ骨粗鬆症予防が必要か、特に骨折の予防や治療が個人のみならず社会にとっていかに有益であるかを、費用対効果を含めガイドラインを中心に考察する。

なぜ骨粗鬆症予防が必要か

国民生活基礎調査の概要(厚生労働省、2019)では、介護が必要となった主な原因として、運動期疾患(関節疾患・骨折・転倒・脊髄損傷)は総計24.8%(要支援34.6%、要介護20.5%)と最も多く(表)、ロコモの原因となる骨粗鬆症疾患者数は、1280万人(男性300万人、女性980万人)と報告されている。さらに、運動器疾患は重複疾患が多く、その患者数は2470万人にも上ることから骨粗鬆症予防は必要である。

骨粗鬆症の疫学

40歳以上の骨粗鬆症の有病率は、腰椎で男性3.4%、女性19.2%、大腿骨頸部で男性12.4%、女性26.5%であり、図1に年代別有病率を示す。発生率は、腰椎では0.76%/年、大腿骨近位部では1.8%/年で、図2に女性の発生率を示す。

骨粗鬆症は転倒頻度を高めるか

骨粗鬆症患者の年間の転倒頻度は30%以上であり、一般高齢者の転倒頻度(15〜20%程度)と比較すると高い転倒頻度である。骨粗鬆症患者は円背のため立位時の重心位置が後方化し、身体バランスが低下することで転倒しやすいと報告されている。

骨粗鬆症による骨折の発生率

大腿骨近位部骨折の発生率は、148,100人(男性31,300人、女性116,800人)であり、調査のたびに患者数は増え、男女とも80歳以上の高齢者で発生率が増加している(図3)。一方、椎体骨折の累積発生率は、60歳代男性で5.1%、女性で14%、70歳代男性で10.8%、女性で22.2%である。ついたい骨折はコホート効果により減少している可能性があると報告されている。

骨粗鬆症の自然経過

骨は学童期から思春期にかけ形態学的成長とともに量的(骨量)増加を示す。20〜44歳で最大値を示し、加齢とともに骨塩量は減少する。特に、女性は閉経後骨量の減少が著名である。その減少は腰椎骨密度で評価すると、20〜44歳を100%として、45〜49歳で約98%、50〜54歳で90〜92%、55〜59歳で82〜83%と激減する(図4)

骨粗鬆症が生活機能や生活に質に与える影響

骨粗鬆症の生活の質(quality of life:QOL)評価質問表において、骨粗鬆症患者は、「姿勢・体形」と「転倒・心理的要素」の項目において有意に点数が低い。寝たきりや要介護と関連する不動化に関し、ハザード比で年齢(1.08)と推体既存骨折数(1.34)が有意な不動化をもたらす危険因子とされている。海外の骨粗鬆症患者の健康自己評価をみると、骨粗鬆症のない人と比較して自分の健康状態が悪いと2.7倍の人が回答している(図5)。

骨粗鬆症が生命予後に与える影響

骨粗鬆症は骨折の最大の危険因子である。特に大腿骨折近位部骨折は移動能力や生活能力の低下のみならず死亡率も上昇させ、生命予後と直結している。大腿骨近位部骨密度と累積生存率の分析で年齢、body mass index:BMI、血圧など死亡に関する交絡因子を調整しても、最高位に対する最低位の死亡のハザード比は2.58と有意に高いとされている(図6)。

メモ:医療経済評価

医療経済評価は、かけた費用に対する効果判定の方法によって分類されている。骨粗鬆症など治療薬を含めた解析には、費用効用分析(cost-unility analysis:CUA)が用いられ、最悪の状態を0、完全な健康を1とし、疾病・障害がどの程度に相当するかを効用値(utility)で著しし、生存年×効用値でquality adjusted life years(QALY)を求める。QALYを1年延長するのに必要な費用を比較するのがC U Aである。C U Aで、増分費用効果比(incremental cost-effectiveness:ICER)を推定する。I C E Rは社会的な許容ライン(willingness to pay:WTP)と比較され、これを下回る場合、介入は費用対効果に優れると判断される。W T P値に関し、米国では$50,000/Q A L Y、英国では20,000〜30,000/Q A L Yが最高値とされる。

骨粗鬆症検診と予防は費用対効果がある

費用対効果については海外での報告がほとんであるが、最後に我が国での報告を記載する。

  • 初発骨折予防のための検診・治療

50歳以降の女性に対し、骨密度検診を実施し高リスク者に対する薬物治療を開始すると費用対効果に優れる。40〜64歳では身体的活動を促進するプログラムが最も効果的で65〜75歳での検診・治療はW T Pが$75,000/Q A L Yまで許容されれば費用対効果に優れる条件であり、75歳以降のI C E Rは$50,000/Q A L Y以下となることが示されている。高齢男性に対する検診・治療は、①65歳以上で既存骨折がある場合、②80歳以上で既存骨折がない場合に費用対効果がある。

  • 二次骨折予防のための介入

骨折受傷者に対するリーフレット配布やカウンセリングなどは費用節減につながる。骨折リエゾンサービスは評価・治療に費用がかかるが、二次骨折を回避し費用節減効果が期待できる。

骨粗鬆症の治療は費用対効果がある

ビスホスホネート製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulators:SERM)やテリパラチド(teriparatide:TPTD)、デノスマブなど費用対効果があると報告されている。薬剤間に関し、比較的低い年齢層ではS E R Mが高齢者層ではB P[アレンドロネート(alendronate:ALN)]製剤が服用できない場合、デノスマブ治療が費用効果的に利用できるとされている。
本邦では、検診とB P製剤治療の費用対効果に関し、W T Pが$100,000/Q A L Yのもとで、70歳以上で椎体骨折の既往のある患者では費用効果的であるが、椎体骨折の既往がない女性の場合85歳以上でも費用対効果に劣る。予防的治療のI C E RがW T P(=$50,000/Q A L Y)以下となるための患者の大腿骨近位部骨折と臨床椎体骨折の10年確率の合計値は約26.2%と推計されている。

なぜ骨粗鬆症予防・治療が有益か

健康寿命延伸のために、以下に対する対策が必要である。

・骨粗鬆症患者数(1280万人)が多い。
・骨粗鬆症患者は、骨強度の低下や転倒しやすく、易骨折性である。
・骨粗鬆症は、健康寿命や生命予後に影響を与える。
・骨折リエゾンサービス:多職種連携が有用である。
・骨粗鬆症対策が医療経済学的にも重要である。

感想

とにかく流行っている健康寿命を維持するための大きな原則として骨密度が十分である必要があります。
薬についてはトップの方にお伝えした過去の記事を読んで頂けると良いです。
運動による改善については後日掲載予定です!!

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りこ
こんにちは。りこと言います。パート働いている2児のアラフォーワーママです🙋‍♀️ 毎日、食事を作る時間がない・・・と言うことで、「ホットクック」を購入!! 買ったからには使いこなしたい!と思い、ホットクックレシピを試行錯誤🌸 楽しく時短しています🎵よかったら参考にしてください(o^^o) よろしくお願いします🌼
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