非荷重骨の骨量低下とその改善方法




おはにちわ、のまりこです。

本日は文献紹介をいたします。
現代病とも言える骨粗鬆症。その骨粗鬆症の予防や改善方法を運動など身体を動かすことをテーマとしてお伝えします。
この文献は総合リハビリテーションという雑誌に載っております。今回も図を挿入することができなかったので、詳しく知りたい方は是非参考にしてください。

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はじめに

骨粗鬆症は骨量と骨組織の微細構造の異常により、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増加する疾患である。骨粗鬆症の治療薬の開発が進み、骨折のリスク評価や治療開始基準の進展もあり、ある程度骨粗鬆症を抑圧することが可能になる医療が実現しつつあるものの、骨粗鬆症の制圧には道半ばである。2015年の時点で40歳以上の骨粗鬆症患者数は1300万人近いと推計されているが、この中には立位歩行が困難な障害を抱える若齢者の骨粗鬆症は含まれず、それらを含めるとさらに多いものと予想される。
一般的に骨粗鬆症の改善には薬物治療に加え、食事、日光浴、運動が重要だが、寝たきりなど身体活動制限される障害者では荷重訓練が困難であり、必ずしも骨量維持に十分な運動が可能とは限らない。また、運動により荷重骨を保護することは難しいと思われる。しかし、身体活動が困難な障害者の骨量低下を保護することは、介護骨折を防ぐ観点からも非常に重要な課題の一つであり、本稿では寝たきり障害者の全身の骨を保護するという観点から非荷重骨の保護を考えてみたい。

骨リモデリングとその制御因子

古い骨は骨吸収を担う破骨細胞によって吸収され、骨形成を担う骨芽細胞によって形成される新しい骨によって補填される。この骨の新陳代謝が骨のリモデリング(自らを再構築)であり、破骨細胞や骨芽細胞のほか、骨基質に埋没して存在する骨細胞などの細胞との連携によりリモデリングが行われる。破骨細胞は造血幹細胞由来の単球・マクロファージ系の細胞が、骨芽細胞や骨細胞が発現するtumornecrosis factor(TNF)ファミリーのサイトカインである破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor-kB ligand:RANKL)の刺激を受け、細胞融合の過程を経て形成される。成熟した破骨細胞は酸を分泌して骨のリン酸カルシウムを溶解し、カテプシンKやマトリクスメタロプロテアーゼも分泌してコラーゲンなどの骨基質タンパク質を分解することで骨吸収を行う。
骨吸収が終了すると骨芽細胞による骨形成が開始される。骨形成因子(bone morphogenetic protein:BMP)をはじめとするトランスフォーミング増殖因子β(transforming growth factor-β:TGF-β)スーパーファミリー、インスリンよう増殖因子(insulin-like growth factor:IGF)などの刺激を受けて分化誘導される。骨芽細胞は1型コラーゲンや非コラーゲンタンパク質などの骨基質タンパク質を産生することで類骨を形成し、その後リン酸カルシウムの分泌による石灰化を行う。その結果、骨吸収が完了した吸収窩は新生骨によって埋められ、この時に骨芽細胞の一部は骨基質中に埋没して骨細胞になる(図)。
骨リモデリングは破骨細胞による骨吸収が引き金となるが、副甲状腺ホルモンやビタミンDは破骨細胞による骨吸収を促進し、血中のカルシウム濃度を上昇させる。血中カルシウムが上昇すると甲状腺からペプチドホルモンのカルシトニンが分泌され、破骨細胞による骨吸収を抑制し、血中濃度を低下させる。これらの作用により血中のカルシウムはある一定の濃度に調節される。骨吸収が完了すると骨形成のフェーズに移行するが、骨基質中に蓄積されている骨芽細胞の分化に重要なT G F -βやI G Fはこつ吸収に伴って放出され、破骨細胞が産生するとセマフォリン(Semaphorin)4D(Sema4D)破骨細胞分化を促進することから、骨吸収部位で骨芽細胞分化と成熟により骨形成が行われる。骨基質中に存在する骨細胞は骨保護因子であるSemaphorin 3A(Sema3A)を産生することで骨形成促進と骨吸収抑制を行うほか、運動による骨組織に対する力学的負荷を感知するメカノレセプター細胞としての機能も有することから、Wntシグナルのアンタゴニスタであるスクレ待ちんやR A N K Lの発現を介して骨形成促進と骨吸収促進を行い、骨吸収と骨形成の均衡を保つ。正常な骨リモデリングはこれらの因子が正常に働くことで維持されている。

骨粗鬆症発祥のメカニズムと治療法

骨量を維持するためにはリモデリング部位における骨吸収と骨形成の量が均衡していなければならず、骨粗鬆症では骨吸収と骨形成の均衡が骨吸収に傾くため、骨量が低下する。骨形成を担う骨芽細胞の活性化、石灰化に必須なカルシウムや血中カルシウム濃度を保つビタミンDの欠乏は骨量低下を招く(栄養性骨粗鬆症)。また、女性ホルモンであるエストロゲンは骨芽細胞に発言するエストロゲン受容体を介して骨芽細胞を活性化し骨形成を促進する役割を果たすと同時に、骨芽細胞による破骨細胞分化因子R A N K L発現を抑制する。また、破骨細胞に対して直接的に作用し、破骨細胞に対して細胞死を誘導するほか、骨細胞が産生するSema3Aの発現を介して骨形成促進と骨吸収抑制を行うなど、骨量を増加させる機能を有することから、閉経後のエストロゲン欠乏でも骨量低下が起こる(閉経後骨粗鬆症)。加齢による骨粗鬆症では、老化に伴う間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化能や骨芽細胞の骨形成能の低下により骨形成が衰えるため、骨量が減少する(加齢性骨粗鬆症)。さらに運動時の骨に対する力学的荷重は骨量の維持・増加に重要であり、運動不足や寝たきりの不動による力学的負荷の低下でも骨量は減少する(不動性骨粗鬆症)。このほか、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、糖尿病、慢性腎臓病などの疾患やステロイド薬などの薬物も骨量低下をきたす要因となる。
骨粗鬆症の治療薬は、骨吸収抑制薬、骨形成促進薬、骨代謝調整薬に大別される。ビスホスホネートやR A N K Lの中和抗体であるデノスマブ、カルシトニン製剤、選択的エストロゲン受容体調整薬は破骨細胞の骨吸収を抑制する薬剤であり、テリパラチドなどの副甲状腺ホルモン製剤やスクレロスチンの中和抗体は骨形成促進役として位置付けられる。副甲状腺ホルモンは前述のように破骨細胞による骨吸収を促進し、副甲状腺機能亢進症などで血中の副甲状腺ホルモンが持続的に上昇する状況では骨量が減少するが、一過的に投与するとメカニズムは不明ながら骨形成を促進し、骨量を増加させる効果をもつ。カルシウム濃度や骨代謝の正常な働きを維持する作用をもつ。
薬物の治療と併用して運動療法の導入も推奨される。閉経後に骨量が低下した女性を対象にした研究では、荷重運動を含む運動により大腿骨近位部の骨密度が上昇することが報告されている。転倒時の衝撃は骨粗鬆症患者における骨折の1つの要因であるが、筋力訓練やバランス訓練により転倒リスクを低下させるとの報告があることから、運動は筋力増強、身体バランスや柔軟性の向上により転倒を予防する効果ももつ。もちろん、骨量が低下した状態における過度な運動は骨折を誘発する可能性があるため、薬物治療との併用や年齢・活動性・転倒リスク・骨粗鬆症の重症度などを考慮したうえで導入することが望ましい。

骨粗鬆症における非荷重骨の骨量減少

骨は皮質骨と海綿骨から構成されるが、皮質骨は骨の外側に存在する非常に強固な骨であるのに対して、海綿骨は皮質骨で囲まれた骨髄腔に存在し、骨に対する力学的負荷に対する抵抗性を大きくする方向性に骨量が海綿状に配列する。骨によって海綿骨と皮質骨の比率は異なり、胸椎や腰椎などの躯幹骨は海綿骨が主体であり、橈骨などの末梢骨では皮質骨が主体である。また、同じ骨でも部位によって海綿骨と皮質ことの比率は異なり、例えば大腿骨や橈骨では骨幹部より骨端部で海綿骨の比率が大きく、胸椎や腰椎では椎体における海綿骨の比率が大きい。
骨粗鬆症による骨折は荷重骨である椎骨、大腿骨、下腿骨に加え、非荷重骨である橈骨、上腕骨、肋骨などで生じやすい。骨粗鬆症の発生率は加齢とともに増加するが、年齢別の骨折部位の割合をみると70歳代以降では海綿骨部分の多い椎体や大腿骨近位部が多い。これは、海綿骨は皮質骨と比較して骨表面積が大きいため骨リモデリングが速く、皮質骨よりの海綿骨において早期に顕著となることが要因の一つである。また、歩行能力が低下した状態や寝たきりの状態が長時間が継続することで発症する不動性骨粗鬆症においても荷重骨の椎骨や大腿骨における骨量低下が顕著であるが、橈骨をはじめとする非荷重骨における骨量低下は病態が進行しないとみられない。
一方で、閉経直後の女性では橈骨遠位端における骨折が80%以上を占める。この理由としては、閉経直後の女性は日常生活などにより生じる力学的負荷が椎体や大腿骨といった荷重骨における骨量低下をある程度抑制する一方で、力学的負荷のかからない橈骨の海綿骨部位で骨量低下が生じるためと考えられる。しかしいずれの骨粗鬆症においても、さらに骨量低下の要因が継続して病態が進行すると、荷重骨、非荷重骨、海綿骨、皮質骨にかかわらず骨量低下が起こる。
これらのことを総合的に判断すると、海綿骨が多い骨から骨量低下が始まり、また非荷重骨の骨量低下は荷重骨の骨量低下よりも遅れて起こるが、運動などにより荷重骨が保護される状況では非荷重骨、特に海綿骨を多く含む橈骨遠位部の骨量が減少しやすいと考えられる。

非荷重骨の骨量減少の防止

骨粗鬆症時の非荷重骨の骨折のうち臨床的に頻度が高く、手術を要することが多い骨折は、転倒して肩や肘や手をついた時に生じる橈骨遠位端骨折と上腕骨近位部骨折であり、特に閉経直後の50歳代前半の女性では橈骨遠位端骨折が多い。また骨粗鬆症が進行すると肋骨骨折や骨盤骨折を来すなど、骨粗鬆症のタイプやステージごとに異なる非荷重骨の骨折予防が重要となる。
骨粗鬆症の治療薬による非荷重骨の骨量に対する効果に対する報告は存在し、カルシウム薬やカルシトニン薬、デノスマブなどは橈骨や中指骨の骨量を増加させることが報告されている。ただし、カルシトニン薬は骨粗鬆症における疼痛に対する鎮痛作用を有しており、疼痛改善を目的として投与される。また、骨折に対するリスクに関しては、女性ホルモン薬、活性型ビタミンD製剤などが骨折リスクを低減させる効果があるとされている。荷重骨運動などの力学的負荷により骨量を維持もしくは増加させることが可能であることが報告されている一方で、非荷重骨では力学的負荷が困難であると考えられるためか、そのような報告に乏しい。しかし、閉経直後の女性における橈骨骨折は転倒に起因することを考えると、運動療法やバランス訓練は転倒予防に有用であるため、橈骨をはじめとする非荷重骨の骨折リスクを軽減させることが期待される。加齢や閉経による骨粗鬆症では自立が可能な限り、運動と薬物による治療を併用することにより、非荷重骨の骨量低下と骨折を防止することが望ましいと考えられる。
一方で、寝たきり患者では加齢や閉経による骨粗鬆症とは異なる、骨量が急速かつ劇的に低下する。寝たきり患者の日常的な介護としておむつ交換や体位変換、全身清拭などが挙げられるが、これらの介護動作に伴って生じる介護骨折が問題となる。おむつ交換時の大腿骨近位部骨折が多いが、体位交換時等における橈骨や上腕骨、肋骨の骨折も少なくない。寝たきり患者に対して介護骨折予防を目的として骨粗鬆症治療薬による治療が30分以上状態を起こすことができない患者に対する投与は禁忌とされており、さらに長期不動状態の患者に対する選択的エストロゲン受容体調整薬の投与も禁忌であることから、それ以外の治療薬が選択される。ビスホスホネートの静注投与やデノスマブ投与、活性型ビタミンD製剤やビタミンK薬の投与が行われ、高齢など骨折の危険性が極めて高い患者に対しては副甲状腺ホルモン製剤の投与も有効である。
このよう鬼寝たきり患者だからといって骨量減少に伴う骨折に対して特別な対策があるわけではなく、基本的には栄養素の摂取と病態に応じた適切な薬物治療が必要である。しかし、自立歩行が可能な骨粗鬆症患者と異なる点は、自立歩行が不可能な寝たきり患者は運動療法が困難な点であることを考えると、ストレッチや間接可動域訓練などによる関節拘縮の予防と改善、立ち上がり訓練や歩行訓練などによる筋力と骨量の低下の防止が重要である。

おわりに

非荷重骨は荷重骨と異なり、運動などにより骨量増加することは容易ではない。自ら運動ができる患者であれば、かろうじて前腕、上腕の骨であれば腕立て伏せによりある程度は骨量減少を抑制することは可能かもしれないが、骨粗鬆症を発症する高齢者や寝たきり患者にとってはおそらく不可能であろう。また、肋骨や鎖骨などは健常者であっても鍛える手段に欠くこともあり、非荷重骨は一度減少したら骨量の回復は困難である。したがって、寝たきり患者の骨粗鬆症の病態が進行し、介護骨折のリスクが高まる前に、食事や運動、薬物治療などの介入が必要になると思われる。

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リン子
リン子と言います。時短で働いている2児のアラフォーワーママです🙋‍♀️ 義理両親と完全同居中。同居のこと、育児のことなど気持ちの整理・記録を残そうと思ってブログを始めました。ゆるーく、楽しく(たまに愚痴も笑)書いていこうと思います🙇‍♀️よろしくお願いします🌸 ⚫︎結婚して7年 ⚫︎同居して5年 ⚫︎職業は病院薬剤師 ⚫︎子供は4歳(女)と2歳(男) ⚫︎愛車はセレナ ⚫︎SMAP好き ⚫︎辛い食べ物好き
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