2022年8月24日(水)
今日は2016年11月に発売された潰瘍性大腸炎治療薬の『リアルダ錠』の勉強をしようと思います。
リアルダ錠の有効成分はメサラジン。同じ成分の薬で、『アサコール錠』『ペンタサ錠』があります。

順番に見ていきましょう。
目次
潰瘍性大腸炎とは
腸に炎症が起きる病気を、「炎症性腸疾患」と言います。
炎症性腸疾患には、大腸に炎症が起きる 「潰瘍性大腸炎」と、小腸や大腸などあらゆる消化管に炎症が起きる「クローン病」があります。
潰瘍性大腸炎は、国が定めた「指定難病」の1つです。発症原因は未だわかっていませんが、「免疫異常」が関係していると考えられています。 現在、根治療法はありません。

再燃と寛解を繰り返します。治療のゴールは寛解時期を継続させ、日常性生活に支障をきたさないことです。
現在、日本には、約18万人の潰瘍性大腸炎の患者さんがおり、その数は年々増加しています。
瘍性大腸炎は、若年者から高齢者まで発症しますが、発症年齢の主なピークは、男性では20~24歳、女性では25~29歳です。しかし最近では、40代以降でも、多くの人が発症すると言われています。
重症の患者さんは少なく、全体の9割が「軽症~中等症」の患者さんで占められています。
リアルダ錠の作用機序
活性酸素種産生の抑制、活性酸素種による組織/細胞傷害の抑制、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)活性化、核内因子κB(NF-κB)活性化の抑制、アラキドン酸代謝物産生の抑制およびホスホリパーゼD活性化などの作用を示し、これらの作用機序により大腸の炎症を抑え、腹痛、血便などを改善します。

多くの薬は、胃酸で溶解してしまい、大腸まで薬が行き届きません。
リアルダ錠は酸で解けないよう特殊なコーティングが施されています。これをMMX(マルチマトリックス)と言います。

コーティングが壊れてしまうので、粉砕したり、噛んで服用してはいけません。
このコーティングはpHが7以上のアルカリ性の条件で溶けるようになっています。
小腸の最後のあたりでコーティングが溶解し、メサラジンが少しずつ放出され、大腸の全域に、持続的に有効成分を放出するように製剤設計されています。
リアルダ錠、アサコール錠、ペンタサ錠の違い
メサラジン製剤は3種類あります。
ペンタサ錠 | 溶ける時間を調節した薬で、小腸から大腸にかけて徐々に有効成分を放出します。そのため、潰瘍性大腸炎のみでなく、クローン病にも効果を発揮します。その他、注腸剤も販売されています。 |
アサコール錠 | アサコールは胃や小腸はそのままの形で通過し、大腸に到達すると溶解して薬物を放出するよう設計されています。1日3回服用。 安倍総理大臣も服用していたそうです。 |
リアルダ錠 | 消化管内のpH変化を利用、さらにそこで溶ける速さを調節することで、大腸で有効成分を徐々に放出する薬です。このため、寛解期だけでなく活動期も1日1回の服用で効果が得られます。また、1錠に含まれる有効成分量が多いので、服薬錠数が少なくてすみます。 |
リアルダ錠と同じ成分で商品名が違う薬があるのね。何が違うのかしら?