今日は脂質異常症治療薬の中では1番新しい薬、『パルモディア錠』の勉強をしようと思います。
パルモディア錠はフィブラート系と言われる種類の1つで、2018年6月に発売された比較的新しい薬です。
目次
脂質異常症とは
脂質異常症とは血清脂質値が異常値を示す病気です。
- 悪玉コレステロール(LDL)の上昇
- 善玉コレステロール(HDL)の低下
- 中性脂肪(トリグリセリド)の上昇
上記の3つの項目のうち、どれかを満たした場合に脂質異常症と診断されます。
脂質異常症は放っておくと、心筋梗塞や脳梗塞など、動脈硬化によって発症する可能性のある血管系の病気の引きがねになると考えられています。

ちなみに、悪玉コレステロール(LDL)が高い人は、クレストール錠やリピトール錠、メバロチン錠などスタチン系と呼ばれる脂質異常症の薬で治療します。
パルモディア錠の作用機序
パルモディア錠はフィブラート系に含まれますか、既存の薬と少し異なる作用機序をしています。

商品名だと・・・ベザトール錠・トライコア錠・リピディル錠などがフィブラート系の薬です。
これはフィブラート系の作用機序の画像です。↓(参考:薬がみえる)

核内受容体の1つであるペルオキシソーム増殖剤応答性レセプター(PPAR) の中の脂肪の酸化などに関与するPPARα型がフィブラート系により活性化されることにより、
- 肝臓におけるやLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪(トリグリセリド)の合成を阻害する。
- リポ蛋白の代謝を促進し、中性脂肪(トリグリセリド)の分解を促進させて血液中の中性脂肪(トリグリセリド)を低下させ、善玉コレステロール(HDL)を増やす作用をあらわす。
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の代謝を促進する作用もあらわす。
中でも、パルモディア錠は、SPPARMα(選択的PPARαモジュレータ)と呼ばれ、PPARαの標的遺伝子の発現を選択的に調節することで、既存のフィブラート系に比べてよりトリグリセリドを強力に低下させ、HDLコレステロールを上昇させます。
網膜神経の機能保護効果がある!?
パルモディア錠の面白い研究報告がありました!
慶應義塾大学の研究グループが「パルモディア錠」が線維芽細胞増殖因子21(FGF21)の血中濃度を高めることで、網膜のシナプトフィジンの発現を維持し、網膜神経の機能保護効果があることを見出した。
FGF21は、分泌タンパクであるFGFファミリーのひとつで、全身投与すると血糖・中性脂肪の低下作用、膵β細胞の機能の維持、肥満と脂肪肝の改善の効果が得られると報告されています。
また、FGF21はマウスの網膜で、抗血管新生作用、神経保護効果、血管透過性亢進の抑制など、さまざまな効果が報告されています。
今度、適応の追加があるかもしれませんね!
パルモディア錠はまだ色々な可能性を秘めた薬のようです!
パルモディア錠の特徴
考察
私の病院では既存のフィブラート系に変わってよく処方されます。効果も実感できている人が多いです。まだ新薬なので後発品はないのでやや高いのが傷ですね。
副作用の話もあまり聞きません。
腎機能が悪い人でも服用できるのは、大きなメリットです(°▽°)
また、近年の研究から今度更なる効果も出てきそうで個人的には将来楽しみな薬です♫
今後、もっと処方されると思います。私も中性脂肪高めなので・・・飲むことがないよう気をつけたいですね!!
早速どんな薬か、見ていきましょう!