2型糖尿病治療薬として既に使用されている「オゼンピック」と同成分ですが、最大用量は2倍以上の2.4mg。
2021年6月には、米食品医薬品局(FDA)により継続的な体重管理を適応として承認されています。
目次
肥満症とは?
「脂肪組織に過剰に脂肪が蓄積した状態で、BMI 25kg/m2以上のもの」が肥満、このうち「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態」
が肥満症と定義されています。なお、BMI 35kg/m2以上の場合は高度肥満症となります。
世界保健機関(WHO)による定義では、BMI 25kg/m2は過体重で、肥満はBMI 30kg/m2以上とされていますが、日本人ではBMI 25kg/m2であっても、肥満に関連した健康障害のリスクが高まることから、日本肥満学会はWHOとは異なる基準を設けています。
よく、「日本人は肥満が少ない」と耳にしますが、日本のBMI 25kg/m2以上の割合は、男性で3割、女性で2割程度。これは、米国のBMI 30kg/m2以上の割合とさほど変わりません。

日本人も肥満への適切な介入が必要ですね。
現在の肥満治療
肥満症治療は食事療法と運動療法が基本です。
また、生活活動の記録や体重のグラフ化、咀嚼法といった行動療法も併せて行います。
肥満症ではまず最初に現体重の3%以上、高度肥満症では5~10%以上を減量目標として設定しますが、未達成の場合は、食事療法の強化や薬物療法、高度肥満症では外科療法を考慮します。
薬物療法
薬物療法については、糖尿病を合併している場合、体重減少効果のある血糖降下薬を選択することができます。
しかし、糖尿病を合併しない場合、使用できる薬剤は食欲抑制薬であるサノレックス錠のみです。ただし、サレノックスの適応は高度肥満症であり、また投与期間が3カ月に限定されているため、事実上、継続的な体重管理に使用できる薬剤はないということなります。
外科療法
外科療法としては、2014年に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険収載されています。
適応はBMI 35kg/m2以上で糖尿病、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のうち1つを合併した高度肥満症などに限定されていますが、術後1~2年で30%ほどの体重減少が期待できます。
また、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術2年後の合併症寛解率は、糖尿病75.6%、脂質異常症59.7%、高血圧41.8%と報告されています。
ウゴービ皮下注射の詳細

ウゴービはGLP-1受容体作動薬です
GLP-1受容体作動薬は現在、糖尿病治療薬として使用されています。(商品名:リベルサス錠、オゼンピック皮下注射)
GLP-1受容体作動薬の効果
- 膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促進して血糖値を下げる。
- 膵臓のα細胞に作用してグルカゴン分泌を抑え、血糖値の上昇を抑える。
胃の蠕動(ぜんどう)運動を抑えて、胃の内容物が小腸へ排泄されるのを遅らせて、食後血糖値の急激な上昇を抑える。
視床下部に直接作用して食欲を抑える。
GLP-1受容体作動薬は、低血糖が少なく、体重増加も起こしにくいことが特徴です。
治験では、20%体重が減った人もいるようです☺️
副作用
副作用としては、悪心、嘔吐、便秘、下痢などが挙げられます。
しかし、このような消化器症状はGLP-1受容体作動薬による食欲抑制作用の裏返しとも考えられます。実際、GLP-1受容体作動薬を使用すると、「胃がムカムカして、脂っこいものを食べたくなくなった」「食事がおいしくなくなった」などと表現する人もいます。
効能・効果
肥満症。
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
用法・用量
通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として0.25mgから投与を開始し、週1回皮下注射する。その後は4週間の間隔で、週1回0.5mg、1.0mg、1.7mg及び2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
考察
今まで、肥満症の治療薬はサノレックス錠しかなかったので選択肢の幅が大きくなりますね😀
しかも、サノレックス錠より使いやすい♫
今でもGLP-1受容体作動薬は美容科などでは痩せる薬として売られていたりするので効果はそれなりにあるのではないかと思います😁
今、肥満症治療薬は開発に盛り上がりを見せています。どんな、薬が出てくるのか楽しみです🌸ウゴービの薬価も気になるところです💊
参考
- 日経メディカル
- 糖尿病サイト
2023年1月27日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で肥満症を適応としたGLP-1受容体作動薬『ウゴービ』の承認が了承されました。