先日、変わった処方に出会いました!
そこで、ドクターが処方した薬は…『エビスタ錠』でした!

エビスタ錠の適応は閉経後の骨粗鬆症だけど…痛みに効くのかな?

今日は更年期障害に使う薬を勉強しましょう。
目次
更年期障害とは?
加齢による卵巣機能低下に起因する女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、のぼせ・ほてり・発汗を中心に多様な症状(不定愁訴)をきたす状態のことを指します。
更年期の女性(閉経前後の45〜55歳頃)
- 卵巣機能低下→女性ホルモン(エストロゲン)減少→自律神経中枢に影響→自律神経失調症状
- 社会、環境、心理的要因の関与し、精神神経症状やその他身体症状が出現する
- 自律神経失調症:ホットフラッシュ(のぼせ・発汗・ほてり)、手足の冷え、動悸など
- 精神神経症状:易怒性、憂うつ感、焦燥感、不眠、頭痛、めまいなど
- その他:腰痛、皮膚の痒み、食欲不振、疲労感、痛み、頻尿、排尿障害など
症状は1〜数年続くが、閉経後約5年程度で軽快する(個人差あり)
更年期障害で使用される薬
エビスタ錠
エビスタ錠の適応は閉経後骨粗鬆症です。ではなぜ、症例のように更年期女性の疼痛に処方されたのでしょう。
女性ホルモンと痛みは密接な関係にあります。
女性ホルモンには関節の炎症を抑え、痛みを感じにくくする作用があり、女性ホルモンの低下によりこの作用が失われることで更年期の関節痛や痛みが起こるのではないかと言われています。
エビスタ錠は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)と言われ、ある組織のエストロゲン受容体に対しては拮抗薬として作用し、別の組織では作動薬として作用します。
なので、女性ルモンをうまく調節するような作用を持っているため今回のように更年期障害の疼痛に使用し、改善したという論文が報告されており、使用されるケースもあるようです!
適応外使用になるので注意!

ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン療法のメリットは更年期障害の諸症状の緩和以外に、骨粗鬆症・動脈硬化疾患・アルツハイマー型認知症の予防など、副次的効果もあります。
ホルモン剤は錠剤、貼付剤と種類が多様です。

子宮がある、ないで投与する薬がちがいます。
子宮がある場合、卵胞ホルモンのみの投与だと子宮体癌のリスクがあがるので、リスクを下げるために黄体ホルモンも併用します。

ホルモン補充療法はいつまで続けるの?
閉経前後で不定愁訴などの更年期症状がつらく、日常生活にさしつかえるような時はホル モン補充療法を試みることも一つの方法です。
動脈硬化症を抑えるためには、閉経後できる だけ早く始めた方がよいといわれています。
また続けるのは5年ぐらいを目安と言われていま すが、使用する方自身の症状や取り巻く環境、その時の健康状態により個々に判断します。 やめるときは急に中止すると症状がぶり返すことがありますので、徐々に減らす場合もあります。
ホルモン補充療法の副作用
治療開始初期に乳房や下腹部のはり、不正性器出血がおきることがありますが、しばらく すると軽くなることが多い症状です。
ホルモンによる症状なので心配はありませんが、投与 方法や量の変更を行う場合もあります
また、肝臓で凝固因子の生産が促進されるので動脈血栓塞栓症にも注意が必要です。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
血行をよくして体をあたため、貧血症状を改善します。また、痛みをやわらげたり、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。
一般的に女性に用いることが多く、色白で冷え症、やせ型で体力のあまりない人に向く処方です。具体的には、体の疲れ、冷え性、貧血症状、生理不順、生理痛、生理前後の不快症状、不妊症、むくみ、頭痛、めまい、肩こり、更年期障害などに広く適応します。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)
血液循環をよくして体をあたためる一方、のぼせなど上半身の熱をさまします。また、ホルモンのバランスを整える効果も期待できます。
女性向けで、体が虚弱で疲れやすく、イライラや不安感をともなうときに向きます。
具体的には、手足の冷え、のぼせ、生理不順や生理痛、頭痛、肩こり、けん怠感、不眠、神経症などに適応します。また、そのような症状をともなう更年期障害や自律神経失調、月経前緊張症などにも好適です。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
血行をよくして熱のバランスを整えることで、のぼせや冷えを改善し、子宮などの炎症をしずめます。また、ホルモンのバランスを整える効果も期待できます。
女性向けで、体格がわりとしっかりした赤ら顔の人に向きます。
具体的には、生理不順や生理痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせ、足の冷えなどに適応します。また、そのような諸症状をともなう更年期障害にも適します。そのほか、子宮内膜症や筋腫、ニキビやシミ、しもやけ、痔、打ち身、肝臓病などにも用いられます。

まとめ
他にも、サプリンメントでも色々売ってます。
有名な大豆イソフラボンな、女性ホルモンによく似た構造をしており、女性ホルモン様作用が確認されています。
「命の母」は上記で紹介した漢方3種類が混合されたようなブランドの薬になります。(全成分はなくいいところだけ選出した形)
また抗うつ薬などや鎮痛薬を使用することもしばしば。

更年期障害の症状は様々で個人差がとっても大きいです。自分にあった薬を見つけるとこが大切です。
参考
- くすりが見える
- お薬110番
- 日本産婦人科医会
更年期障害からか、全身の痛み・不調を訴える50代の女性。痛み外来へ相談に来ました。