よくある後遺症ですね。高熱で寝たきりの時間が長かったり、外出禁止で外に出ない期間が長いとどうしても倦怠感が抜けなかったりします。
特に高齢者は歩けなくなって廃用症候群になることもしばしば🥹
この症例の方は、記憶障害は、文書や資料を読んでも途中で分からなくなるような、思考力低下の状態で、通勤はできていますが、勤務時間を減らしてもらっています。朝や夜に息苦しさを感じることが週に2、3回あります。
この患者さんは、新型コロナウイルスの感染により心気が弱まり、後遺症が残ったのでしょう。
この場合は、漢方薬で心気を補うことで心の機能を強化し、治療していきます。この患者さんには、四君子湯(しくんしとう)を服用してもらいました。
服用を始めて1カ月後、頭の重い不快感が軽くなりました。3カ月後、息苦しさが減りました。5カ月後、以前と同じ勤務時間に戻しました。まだ完璧ではありませんが、記憶障害も軽減しています。
目次
四君子湯

効能・効果→やせて顔色が悪くて、食欲がなく、疲れやすいものの次の諸症:胃腸虚弱、慢性胃炎、胃のもたれ、嘔吐、下痢
「コロナに感染して2カ月が経ちますが、咳と痰がまだ出ます。味覚障害と嗅覚障害も残っています。階段を登ったりすると、すぐ息が切れます。時々胸痛がします。味覚と嗅覚の障害で、食事がおいしくありません。舌は淡白色です。」
この患者さんは、「肺気虚(はいききょ)」です。機能(肺気)が弱い体質です。コロナの感染により肺気が衰え、後遺症が残ったのでしょう。咳、痰、息切れ、胸痛、嗅覚障害、淡白色の舌などは、この証の特徴です。
この場合は、漢方薬で肺気を補い治療します。この患者さんには、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を服用してもらいました。
服用を始めて2週間後、咳と痰がほとんど出なくなりました。1カ月後、味覚障害と嗅覚障害も改善し、元のように食事をおいしく感じるようになりました。
人参養栄湯

効能・効果→病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血。
考察
今回は文献からいくつか紹介させてもらいました。コロナ後遺症に効果のある薬はないので、それぞれ試してみないと分からないかなーと思います。
漢方は比較的、効果・効能の幅が広く、副作用も少ないので試しやすいのではないでしょうか?☺️
もし、症例に近い患者さんで悩んでいる方は試してみてください😀
少しでもコロナ後遺症の患者さんが減りますように☆
参考
- DI オンライン 幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
「新型コロナウイルスに感染後、倦怠感や記憶障害がだらだら続いています。病院で検査をしても異常は見つからず、抗うつ薬を処方されていますが効果がありません」