アルツハイマー病などの認知症では、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質が関わるコリン作動性神経系の障害などが原因となり、記憶障害(もの忘れ)、実行機能障害(問題解決能力の低下)、見当識障害(時間や場所の見当がつかない)などの症状があらわれます。

この認知症の症状の進行を抑えるのが、抗認知症薬です。
目次
基本的な選び方
- アルツハイマー型:コリンエステラーゼ阻害薬・NMDA受容体拮抗薬
- レビー小体型:アリセプト
- その他(血管障害認知症、進行性核上性麻痺、神経原繊維変化型老年期認知症など):適応の認知症薬はない
- 軽度:アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
- 中等度:
- アセチルコリンエステラーゼ阻害薬かNMDA受容体拮抗薬のどちらかを選択
- アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬の併用
- 高度:
- アリセプトかメマリーを選択
- アリセプトを10mg/日に増量
- アリセプトとメマリーの併用
副作用が発言していないか。もし、発言 発現している場合には他剤に変更する。
コリンエステラーゼ阻害薬の違い
コリンエステラーゼ(主にアセチルコリンエステラーゼ)を阻害しアセチルコリンの分解を抑え、脳内のアセチルコリンの量を増やし作用をあらわします。
2022何11月現在、コリンエステラーゼ阻害薬は3剤存在します。(商品名:アリセプト、レミニール、イクセロン・リバスタッチ)
アリセプトは軽度、中等度、高度全てに適応がありますが、レミニール、イクセロン・リバスタッチは軽度、中等度しか適応はありません。
アリセプトは、OD錠・細粒・ゼリーと豊富にあります。
レミニールは、OD錠・内容液があります。
イクセロン・リバスタッチは貼付剤です。

患者さんの服用しやすい剤形を選びましょう。
アリセプトは作用時間が長く1日1回の製剤です。
レミニールは作用時間が短く、1日2回の製剤なので、コンプライアンスの悪い患者には不向きでしょう。
イクセロン・リバスタッチは貼付剤なので、内服出来なかったり、拒否する患者さんに有効です。しかし、皮膚障害の副作用に注意です。
コリンエステラーゼ阻害薬の副作用は悪心、嘔吐、食欲不振などの消化器症状です。
アリセプトとレミニールは差がないと報告がありますが、イクセロン・リバスタッチはランチ貼付剤のため比較的少ないです。
薬のまとめ
アリセプト
- 重症度に関係なく服用可能
- レビー小体型認知症にも適応がある
- 剤型が豊富
- 1日1回投与
- 消化器症状の副作用の頻度が高い


レミニール
- 軽度および中等度の認知症に投与可能
- 剤型が豊富
- 半減組短く1日2回投与
- 消化器症状の副作用の頻度が高い


イクセロン・リバスタッチ
- 軽度および中等度の認知症に投与可能
- 唯一の貼付剤
- 1日1回製剤
- 副作用の消化器症状が少ない
- 貼付部位の皮膚障害に注意


メマリー
NMDA受容体拮抗作用により、過剰なグルタミン酸によるNMDA受容体活性化を抑制することにより、神経細胞保護作用および記憶・学習機能障害抑制作用を示します。
- 中等度および高度の認知症に投与可能
- アセチルコリンエステラーゼ阻害薬と併用可能
- 剤型は錠剤のみ
- 1日1回製剤
- 腎排泄型なので、腎障害患者には減量が必要
- 高頻度にめまいの副作用が現れる

参考
- 日経メディカル処方薬辞典
- 違いがわかる!同種・同効薬
今日は抗認知症薬についてまとめたいと思います。