年間300件近く症例のあるアニサキス症。
魚介類の中には、アニサキス(幼虫)が寄生していることがあり、これが生きたまま体内に入ってしまうと、食中毒の原因になる可能性があります。
芸能人も発症したり、ニュースでもしばしば取り扱われることが多く耳にしたことのある人も多いと思います。
突然ですが、問題です!!
目次
アニサキス症の病態
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。

(写真お借りしました。)
魚介類(サバ、カツオ、サンマ、アジ、サケ、イカが多い)に寄生しています。
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)で食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。

生魚介類を食べる日本人に特に多い病気ですね!
アニサキス症の症状
「アニサキスがいる魚」を食べた方全員がお腹が痛くなるかというとそうではありません。
アニサキスを食べた人の95%は、特に症状もなく、あるいはごく軽い胃の痛みで済んでしまいます。
激しい腹痛は5%の方に起こる稀な症状なのです。
☆急性胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
☆急性腸アニサキス症
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。

ほどんどが急性胃アニサキス症です。
ちなみに、アニサキス症での死亡例の報告は2022年11月現在ありません。
稀ですが、アニサキスアレルギーなんてのもあります。
アニサキス症の診断
- 胃カメラ→胃の内部を直接観察します。胃アニサキス症だと、長さ2cm程度の白い糸くず状の虫体が胃の壁に食いついている(刺入している)様子がみられます。アニサキスの幼虫が刺入した部分には、発赤や浮腫がみられます。
- CT検査→腸アニサキス症だとアニサキスの幼虫が刺入した部位に一致して腸に炎症が起こります。CT検査ではこうした異常のほか、腸の穿孔の有無、腸閉塞の有無についても確認します。
血液検査では、アニサキス症かどうかは分かりません。
アニサキス症の治療法
残念ながら、アニサキス症に効果のある薬はありません。
主な治療方は胃カメラで、胃壁や腸壁に食いついているアニサキスを内視鏡用の鉗子によって切ることなく除去する必要があります。
アニサキスをきちんと除去すれば、嘘のように症状が消失します。
またアニサキスは人体内では生存出来ないので、体内に入って1週間ほどで死滅します。
アニサキスは胃液では死にません。なので、調味料の酢や醤油、塩に漬けても死滅しません。
予防方法
- 魚介類の生食を避けること
- 70度以上の湯通しまたは60度以上で1分以上の加熱をする。内臓まで火が通るように、表面だけはNG
- マイナス20度以下で24時間の冷凍する
- 魚介類の内臓に寄生していることが多いので、新鮮なうちに内臓を取り除く
などです。
まとめ
日本人特有の病気と言っていい、アニサキス症。私も生魚介類が好きなので、気をつけようと思います。
今後はアニサキスに効果のある薬が出来ることを期待しています。
参考
- 厚生労働省ホームページ
- 今日の治療指針
- メディカルノート
今日はアニサキス症についてまとめたいと思います!